美しい某姉妹と、円卓を囲んで
酔っ払い海老は、漬けてあるタレがいかにも高級で、すばらしい味だった。
そのあとにきた水餃子は、タネの野菜を少し醗酵させているのだろうか。
しっとりした少し固めの皮とマッチしていて、これは人生で一番おいしい水餃子だ、と思った。
高級レストランの円卓。
雰囲気に圧倒されていたけれど、その味に私たち3人の気持ちが緩んでいく。
「これ、おいしいです、本当に」
「そうね、おいしいわよね。美香さん、この方たちに、もっと注文して差し上げたらどうなの?」
「はい、お姉さん。でも、いろんなものを召し上がりたいかと思って。いま8種類の点心を1個ずつ頼んだんです」
「そうなの、いいわね」
奥から点心が運ばれてくる。
上品なピンク色のシュウマイだ。
どんな味がするのだろう。期待が高まる。
……
ここで、赤ちゃんの泣き声。
目が覚める。午前3時45分。
ピンクのシュウマイが気になると、ぼんやりと思う。
でも、しっかり泣いている。
起きないわけにはいかない。
オムツを変えながら、意識がはっきりしてくる。
叶姉妹のグッドルッキングレディー(ガイだけじゃなくてレディーもいるんだ、と思った)と知り合って、そのご縁で高級中華に招待される夢。
初対面のさしてグッドルッキングでもない私たちを、恭子さんは優しく優雅に、美香さんははきはきと手際よくもてなした。
私「たち」だったはずだけど、招待された他の2人が誰だったかは思い出せない。
はっきりと思い出せるのは、酔っ払い海老と水餃子、そして、食べ逃したピンクのシュウマイ。
……
Spotifyの番組「叶姉妹のファビュラスワールド」を最後に聞いたのは、1ヶ月前。
病室で陣痛を待って、夕飯を食べているときだった。
陣痛誘発剤がそろそろ効いてくるであろう時間帯に差し掛かり、焦らないようにと、優雅な姉妹の会話を聞いたのだった。
優雅、とまではいかないけれど、比較的落ち着いて分娩にのぞめたのは、無痛分娩の麻酔のほかに、このファビュラスな時間があったからかもしれないなと思う。
……
「そんなふうに産まれた子どもも、元気に1ヶ月になりました。
夢で、恭子さんと美香さんに、ヘヴンリーな1ヶ月のお祝いをしていただけたようで、嬉しいです!
私が住むホーチミンは、点心がとてもおいしいので、もう少ししたら、夫と娘と3人で中華に行きたいです。
ピンクのシュウマイも探しながら。」
と番組にお便りを送ってみようかな。
というか、夢の他の2人は、夫と大きくなった娘だったのか。
そういえば18年前、上京してはじめて見かけた有名人は、叶姉妹でした。
発光していました。
Spotifyの番組は、リスナーからのお悩み相談がメインなのですが、私は間に語られる、姉妹での旅や、映画を見た話、豪勢な食事やデザートの話が好きです。
だから、こんな夢を急に見たのだと思います(笑)。
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