美しい某姉妹と、円卓を囲んで

[日曜の窓辺からVol.54]ピンクのシュウマイが、忘れられない話。
やすむ 2024.02.04
誰でも

酔っ払い海老は、漬けてあるタレがいかにも高級で、すばらしい味だった。

そのあとにきた水餃子は、タネの野菜を少し醗酵させているのだろうか。

しっとりした少し固めの皮とマッチしていて、これは人生で一番おいしい水餃子だ、と思った。

高級レストランの円卓。

雰囲気に圧倒されていたけれど、その味に私たち3人の気持ちが緩んでいく。

「これ、おいしいです、本当に」

「そうね、おいしいわよね。美香さん、この方たちに、もっと注文して差し上げたらどうなの?」

「はい、お姉さん。でも、いろんなものを召し上がりたいかと思って。いま8種類の点心を1個ずつ頼んだんです」

「そうなの、いいわね」

奥から点心が運ばれてくる。

上品なピンク色のシュウマイだ。

どんな味がするのだろう。期待が高まる。

……

ここで、赤ちゃんの泣き声。

目が覚める。午前3時45分。

ピンクのシュウマイが気になると、ぼんやりと思う。

でも、しっかり泣いている。

起きないわけにはいかない。

オムツを変えながら、意識がはっきりしてくる。

叶姉妹のグッドルッキングレディー(ガイだけじゃなくてレディーもいるんだ、と思った)と知り合って、そのご縁で高級中華に招待される夢。

初対面のさしてグッドルッキングでもない私たちを、恭子さんは優しく優雅に、美香さんははきはきと手際よくもてなした。

私「たち」だったはずだけど、招待された他の2人が誰だったかは思い出せない。

はっきりと思い出せるのは、酔っ払い海老と水餃子、そして、食べ逃したピンクのシュウマイ。

……

Spotifyの番組「叶姉妹のファビュラスワールド」を最後に聞いたのは、1ヶ月前。

病室で陣痛を待って、夕飯を食べているときだった。

陣痛誘発剤がそろそろ効いてくるであろう時間帯に差し掛かり、焦らないようにと、優雅な姉妹の会話を聞いたのだった。

優雅、とまではいかないけれど、比較的落ち着いて分娩にのぞめたのは、無痛分娩の麻酔のほかに、このファビュラスな時間があったからかもしれないなと思う。

……

「そんなふうに産まれた子どもも、元気に1ヶ月になりました。

夢で、恭子さんと美香さんに、ヘヴンリーな1ヶ月のお祝いをしていただけたようで、嬉しいです!

私が住むホーチミンは、点心がとてもおいしいので、もう少ししたら、夫と娘と3人で中華に行きたいです。

ピンクのシュウマイも探しながら。」

と番組にお便りを送ってみようかな。

というか、夢の他の2人は、夫と大きくなった娘だったのか。

そういえば18年前、上京してはじめて見かけた有名人は、叶姉妹でした。

発光していました。

Spotifyの番組は、リスナーからのお悩み相談がメインなのですが、私は間に語られる、姉妹での旅や、映画を見た話、豪勢な食事やデザートの話が好きです。

だから、こんな夢を急に見たのだと思います(笑)。

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