「あなたは毎日かわいくなる」
東アフリカの女性が、纏う布カンガ。
1枚1枚にスワヒリ語で、ことわざ的な言葉が書いてあります。
15年前に、タンザニアの市場で出会ってはまってからというもの、アフリカに行くたびに買い、日本で仕入れているお店でも買い……50枚ほど家にあります。

書かれている言葉は、恋愛的な愚痴や、人間関係での皮肉、結婚祝い、出産祝いに、お葬式、親子関係の教訓など、さまざま。
女性の人生に、ゆりかごから墓場まで寄り添う布です。
独特な言い回しもあり、スワヒリ語話者でも、カンガを纏わない男性は、意味がわからなかったりするそう。
そのためか、そのまままGoogle翻訳にかけても、けっこう意味がわかりません。
家にあるカンガの言葉の意味は、現地で会った女性や、日本でカンガを売っている方に、聞いてきました。
「おめでとう、ブラザー!」
「両親に感謝」
などシンプルなものもあるのですが、
「恋は蜂蜜のように甘い、砂糖をかけすぎないように」
「あなたと出会って、後悔したわ」
「誘惑は人間の生活の一部です」
というようなちょっとシニカルな言葉もあって、気に入っています。
そのなかで、最近よく思い出すカンガの言葉があります。
「あなたは毎日かわいくなる」
カンガの言葉に紐づけて、ラブコメのストーリー仕立ての写真展をした10年前。
恋する主人公が、どんどんかわいくなっていくシーンの写真で使おうと、日本のお店で買ったものです。

ピンクのハートが、ポップな雰囲気のケニアで仕入れられたカンガ。
「毎日かわいくなる」なんて、誇張した表現なかんじで、言葉もポップでいいなと思っていました。

それから10年、昨年に娘が産まれ、はっとしたのです。
誇張でもなんでもなく、
娘が、毎日かわいくなっている、と(笑)。
産まれたばかりのとき。まだ人間というより「生き物」というかんじで、もぞもぞ動いていてかわいかった。
何ヶ月か経ち、ふっくらしてきた短い手脚で伸びをする姿も、またかわいかったし。
はじめて笑顔を向けられたときは、このかわいさが、人間の赤ん坊の生存戦略なのかと思った。
だんだん声がだせるようになってきた頃。雄叫びをあげて、自分の声になにこれ面白いぞとなっているのも、かわいかったし。
最近はご機嫌に踊ったり、手を振ったりしているのも、かわいい。
自分の主張を通そうと、怒って泣いていたって、かわいい。
スタート地点から、かわいかったけれど、今はもっとかわいい。
しかも、変化をどんどんしていくから、本当に毎日かわいくなっていく。
カンガの言葉を考えたコピーライター(そうい担当の人がいるそうです)が、どういう意図で、このハートのカンガにこの言葉をあてがったのか。
真意はわかりませんが、手にして10年で、新たな気持ちで、味わえるとは。
うまく使いこなせず、タンスの肥やしになりがちではあるのですが(笑)、やはり魅力的な布です。
———
とても久しぶりになってしまいましたが、本年もよろしくお願いします。
毎日かわいくなり、活動量や一緒にいてほしい気持ちが増えている娘とのバランスにより、時間の使い道を調整している最近です。
もうしばらく不定期になるかもしれませんが、また書いていきたいなと思っています。

広げたカンガには、即突撃
カンガのコピーライターにいつかインタビューしてみたいなとか、私も服のコピーライターをしてみたいなとか、書いてみると、やりたいことも浮かんできます💭
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