「まほう みたいに ひかる そら いっしょに みるの うれしいな」
「ダナンって、ハワイみたいで好きなんですよね~。ハワイ行ったことないけど」
来週ダナンに行くと話したら、夫はそう言われたのだという。
私もハワイには行ったことがないけれど、ハワイみたいは言い過ぎなのではと思った。
ベトナム第3の都市、ダナンを訪れるのは2度目だ。
前回は雨季真っ只中で、終始空がどんよりしていたが、乾季の今回は快晴。
ホーチミンに比べて、ずっときれいな道路。
どんより空のときには気付かなかった、エメラルドグリーンの海。
白い砂浜の向こうのビル群。
たしかにあらためて見ると、ハワイっぽいのかもしれない。
砂浜が火傷しそうに熱くなる昼間。パラソルの下に外国人が何組かいるだけのビーチはやけに静かで、いつかテート美術館で見た、デイヴィッド・ホックニーのプールの絵を思い出した。


今回は乾季であることに加え、赤ん坊と来た、というのが前回とは違う。
眩しくて暑すぎるビーチには、夫と順番で一人ずつ赴いて、基本的にはホテルで娘とごろごろしていた。
効きの良いホテルの空調、ベッドの硬さ、ワンルームに家族が密集しているかんじが気に入ったのかもしれない。娘もご機嫌でほっとした。
とはいえ、せっかくなので皆で海を見たい。夜明けにビーチに行くことにした。
朝5時半。ピンク色の太陽は低い位置にあって、まだ涼しい。

ぼんやりとオレンジに光る波間と、温まっていない砂浜には、思いのほかたくさんの人がいた。
波にのる家族、体操をするおじいさん、ヨガをする若い女性。
朝の早いベトナムの人たちで、賑わっている。


娘ははじめての場所に驚いているのか、ぼんやりと人々を目で追っている。
海に近づいてみる。波の音が大きくなったからか、カメラを向けた夫が笑っていたからか、笑顔になった。
おそらく本人の記憶には残らないけれど、一緒にベトナムの海に来られたことが、嬉しかった。
空を見ると、海の上でピンクと水色が柔らかく滲んでいる。
日本の義母にもらって、寝る前に一緒に読んでいる絵本のことを、思い出した。
親子グマの挿絵とともに、親グマ視点で、その日一日、一緒に過ごして幸せだったことを、一つひとつ振り返る絵本だ。日英併記で、どちらもリズムが良いので、日英どちらも声にだして読む。
まほう みたいに ひかる そら いっしょに みるの うれしいな
I love to share the magic of the shining skies above,
まだ内容は理解していないのだろうけれど、挿絵の空がきれいだからか、英語のmagicの語感が好きなのか。娘はこのページで、よくにこにこしている。
それを見て、「まほう みたいに ひかる そら」を、いつか一緒に見るのを楽しみにしていたのだけれど、思いのほか早く実現したようだった。

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この絵本は著者略歴も気に入っていて、本編が終わったあと、
「アメリア・ヘプワース 家族、そしてダックスフントの老犬とロンドンで暮らしている」
というところまで、いつもつい声にだして読んでいます。
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