深夜1時の餃子屋で
忙しいときは、「あり」にしていることがある。
近所のラーメン屋兼飲み屋のような店で、深夜に餃子(しかも、水餃子ではなく焼き餃子)を食べることだ。
美しさや健康を考慮したら、30代女性にとってはNG行為だろう。
でも、私は餃子を食べると心身の幸せ度がかなり向上するタイプなのだ(会社ではあまりに餃子が好きなので、「餃子将軍」と呼ばれている)。食べた直後はリラックスできるし、アドレナリンもでて、翌日もうひと頑張りもできる。
今週は、「あり」と判断した日があった。
店にはいると、入口のすぐそばに、女性二人組がいた。1人がビール片手に、くだをまいている。
後輩社員が先輩社員に、憤りをぶつけているらしい。椅子を横に向けて、部下と向き合わない体勢で、黙って渋い顔をする先輩。
彼女たちの先の席を案内されて、餃子とピリ辛きゅうりを頼む。私はあまり飲まないので、お酒を頼まなくていいのも、ラーメン屋的なこの店のいいところだ。
後輩は大きな声で主張しつづける。狭い店なので、聞こうとしなくても聞こえてきてしまう。仕事で成果をだせない人を辞めさせてほしいらしい。なかなか難しい話だ。
話には一理あるけれど、先輩も「そうだね、辞めてもらいましょう」とはなかなか言えないだろう。
すぐにきゅうりがでてくる。大変だなぁと思いながら、ちまちま食べる。

この半分でいいんだけどなぁというコスパのよいきゅうり。
その間も、後輩の話はヒートアップしていった。たまに先輩が「でもね…」と少し話すと、その何倍もの量で後輩が言い返す。
しばらくして、餃子もくる。すごく特別ではないけれど、ベーシックな昔ながらの中華屋的な餃子。安心するおいしさだ。

この店は「ジャンボ餃子」があるのだけど、これはジャンボではないほう。十分大きい。
そこに、新たな客がはいってきた。見たことがある芸人さんとその友人が、先輩後輩と私の間の席に座る。
ちょうど視線の先の席なのだけど、プライベート感があったので、あまり見ないようにして餃子を食べる。
先程の女性は、気にせず(というか、気づいていなかった?)まくしたて続けている。芸人さんたちのほうも、彼女たちを気にせず話している。こちらはかなりほのぼのだ。完全にオフモードなようで、ボケもツッコミもなさそうな、穏やかなトーンだ。
「最近、こってりラーメンがきつくなったんだよね〜」とか、そんなある一定の年齢にいった日本人の誰もが一度は言ったことがあるような世間話が、怒りの狭間に聞こえてくる。
深夜1時。こんな時間に女性1人で、ふらっと店に行って、ノンアルコールで、知らない人たちの会話をぼんやり聞くこと。
きっとそんなことはできない国に行く直前(というか、こんなことができる国、日本以外になかなかない?)、私は餃子だけではなくて、こういう時間も好きだったんだなぁと気づいた。

食べた直後から塩分過多で、翌日むくむ予感がする。写真を見返して、今日はヘルシーな食事にしようと思った。
【編集後記】
まったくクリスマス感がない、ニュースレターですみません(笑)。
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