僕が人生で成し遂げたすべてのもののなかで、最も美しいもの
この家(僕の住まい)は、僕が人生で成し遂げたすべてのもののなかで、最も美しいものです。
だから、どうか大切に扱ってください。ここに来てくれて、本当にありがとう。
そのメッセージの下に、この家を使う上での基本的なルールと、ホストの連絡先が書いてあった。
こんなに部屋への愛のこもったルールが置いてある、Airbnbははじめてだった。
これまで10回以上Airbnbは使っているけれど、たしかに、この家は一番美しいかもしれない。
1932年に建った、ローマのフトゥリズモ(未来派)様式を象徴する建築の一つであるというアパートメントは、大理石の螺旋階段が美しい。

2つあるリビングは、それぞれ世界観が違う。
一つは薄茶色の革のソファに、白い机、オレンジと黄緑と紫の松ぼっくり柄のオットマン、油絵のクラシックな雰囲気。

もう一つは真っ赤なソファに、4匹の豹の置物、モダンな写真作品。一つはアーティスティックなヌード作品で、このアパートの螺旋階段でホストが撮ったものだろうか。

ゲスト用の寝室は、鏡張りの本棚に、アメコミの冊子が並んでポップな雰囲気だ。アメコミと同系色の包み紙のカラフルなチョコレートが、ガラスのボールにたっぷりいれられている。
ベッドの背のクッションは、濃いとてもすてきな水色だ。

奥のウォークインクローゼットは、仕立ての良さそうなジャケットや、豹が何匹もいるスーツケース(きっと豹が好きなのだろう)が几帳面に収納されている。
大理石のバスルームには、おしゃれな分やけに重量のある、六角形のシャワーヘッドがあった。

ホストは、ぴしっとアイロンのかかった仕立ての良さそうなシャツにセーターを着た、背が高く穏やかな(だけど、料理中はずっと鼻歌を歌っている)人で、この家がとても似合った。
ローマに着いた私は、すっかり体調を崩してしまって、この素晴らしい家の、素晴らしい水色の背のベッドで半分以上の時間を過ごした。
少し出てみたローマの街は、観光客でごったがえしていて、その間に巨大で白く美しいローマ建築がどーんと建っていた。人の多さからか、その巨大さなからか、私はすぐまた体力を奪われてしまって、水色のベッドにそそくさと戻った。
Airbnbのレビューには、「ここに泊まったのは、ローマでした体験で、一番すてきなことの一つです」と書いた。
大げさ過ぎるように見えるかなと思ってやめておいたけれど、実際は「一つ」というより、一番すてきな体験だった。
この〇〇(私の〇〇)は、私が人生で成し遂げたすべてのもののなかで、最も美しいものです。
住まいなのか、なにか他のものなのか、いつかそう言えるものを、私も持ってみたいと思う。
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最近見ているNetflixの『Community』というコメディ・ドラマで、見栄っ張りな主人公が、
「部屋にイタリア製のシャワーヘッドがあるんだ!」
とずっと言っていたので、これが本物のイタリア製のシャワーヘッドか!と盛り上がりました。

Airbnbに感化されて、ナポリの書店で買った、古い図鑑のページを切り取ったもの。
▼コロナ前に書いたAirbnbの話。久々のAirbnbで、このときの気持ちを思い出しました。
▼泊まったAirbnb(ホストがまとめている、おすすめレストランリストも、軒並みおいしかったです!)
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