ダラット高原のアシュラムへ行く
休みがとれたとき。仕事に疲れたとき。失恋したとき。
ホーチミンの若者は、ダラットに行くという。
ホーチミンから飛行機で北に1時間。アンティチョークとイチゴをはじめとした野菜や果物、花を名産とする高原の街。ホーチミンでは暑さでしなしなしがちな葉物野菜も、しゃきっと爽やかでおいしいらしい。
景色のよいカフェが多くあり、「雲狩り」と呼ばれる、映えた雲の写真を撮るツアーもある。
日本のサイトでは、「ベトナムの軽井沢」と紹介されている。一年中春のような気候だというから、軽井沢よりすてきなのではないかと思う。
滞在許可証がとれてすぐ、パスポートが手元に戻ってくると、私はすぐにダラット行きの航空券を予約した。
ダラットに向かったのは、我ながら落ち着きがないと思うけれど、新居の引越しの翌日だった(でもおかげで、新居に荷物が届いて3時間で、勢いよく片付けを完了できた)。
この旅の目的は、ヨガのアシュラムに行くことだった。アシュラムとは修行所というような意味合いで、泊まり込みでヨガや瞑想をする場所だ。
ヨガも瞑想も、なんとなく何年もやったりやらなかったりの日々だけれど、一度気合いをいれてやってみたいという憧れがあった。
そしてつい先日、ちょうど高円寺に住んでいたときに行っていたヨガセンターが、実は世界の支部の一つで、インドはもちろん、ベトナムにも支部があったことに気づいたのだった。
ホーチミンにもあるけれど、泊まり込みのプランがあるのは、気候の良いダラット高原。この過ごしやすそうなアシュラムでいけそうだと思ったら、気候も食事もお腹事情もよりハードであろうインドのアシュラムに行ってみることにした。
アシュラムの1日のスケジュールは、なかなストイックだ。
5:30 起床
6:00-7:30サットサンガ(瞑想と詠唱をして、講和を聞く)
8:00-9:45 アーサナクラス(いわゆるヨガ)
10:00 ブランチ
10:45-11:45 カルマ・ヨガ (掃除や料理など、それぞれがアシュラムの仕事をする)
13:00 スナック
14:00-15:00 ワークショップ(ヨガに関する講義)
16:00-17:45 アーサナクラス
18:00 夕食
19:30-20:30 サットサンガ
22:00 消灯
22:30 就寝
こんなに早寝早起きをして、瞑想もヨガも3時間ずつやったら、雑念が消えそうだ。食事もすべてベジタリアンらしい。
「4日後には、悟ってかえってくるかもしれない」と夫に行って、ホーチミンをあとにした。
ダラット空港をでると、まず空気がきれいなことに驚いた。排気ガスでもわりとしたホーチミンとは違う、澄んだ空気。春のような気候だ。半袖に上着を羽織る。
アシュラムまでは、車で40分。タクシーから見える山と空の色は、ホーチミンより柔らかく、大きな雲が悠々と流れていく。たしかに、軽井沢に近い。


そして、なにより静かだった。ホーチミンで絶え間なく聞いていた、バイクのクラクションや人の声がない。
歩いているときはもちろん、家からもクラクションや「モー・ハイ・バー・ヨー!」というベトナムお馴染みの乾杯の声がよく聞こえる日々だった。
喧騒、排気ガス、各国のチェーン店、気を抜いたらバイクに轢かれそうな緊張感。
あまり気にしていなかったけれど、ホーチミンはなかなか俗っぽさ満載の街なのかもしれない。
久しぶりの静かな気持ちに、アシュラムでの生活への期待が高まった。
(つづく)
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興味深い4日間だったため、次回につづきます!

アシュラムに行く途中には、湖もありました。白鳥ボードの顔が、日本より化粧濃いかんじ。
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