ダラット高原のアシュラムへ行く

[日曜の窓辺からVol.27]1年中が春の街へ、修行に行ってみた話。
やすむ 2023.03.12
誰でも

休みがとれたとき。仕事に疲れたとき。失恋したとき。

ホーチミンの若者は、ダラットに行くという。

ホーチミンから飛行機で北に1時間。アンティチョークとイチゴをはじめとした野菜や果物、花を名産とする高原の街。ホーチミンでは暑さでしなしなしがちな葉物野菜も、しゃきっと爽やかでおいしいらしい。

景色のよいカフェが多くあり、「雲狩り」と呼ばれる、映えた雲の写真を撮るツアーもある。

日本のサイトでは、「ベトナムの軽井沢」と紹介されている。一年中春のような気候だというから、軽井沢よりすてきなのではないかと思う。

滞在許可証がとれてすぐ、パスポートが手元に戻ってくると、私はすぐにダラット行きの航空券を予約した。

ダラットに向かったのは、我ながら落ち着きがないと思うけれど、新居の引越しの翌日だった(でもおかげで、新居に荷物が届いて3時間で、勢いよく片付けを完了できた)。

この旅の目的は、ヨガのアシュラムに行くことだった。アシュラムとは修行所というような意味合いで、泊まり込みでヨガや瞑想をする場所だ。

ヨガも瞑想も、なんとなく何年もやったりやらなかったりの日々だけれど、一度気合いをいれてやってみたいという憧れがあった。

そしてつい先日、ちょうど高円寺に住んでいたときに行っていたヨガセンターが、実は世界の支部の一つで、インドはもちろん、ベトナムにも支部があったことに気づいたのだった。

ホーチミンにもあるけれど、泊まり込みのプランがあるのは、気候の良いダラット高原。この過ごしやすそうなアシュラムでいけそうだと思ったら、気候も食事もお腹事情もよりハードであろうインドのアシュラムに行ってみることにした。

アシュラムの1日のスケジュールは、なかなストイックだ。

5:30 起床

6:00-7:30サットサンガ(瞑想と詠唱をして、講和を聞く)

8:00-9:45 アーサナクラス(いわゆるヨガ)

10:00 ブランチ

10:45-11:45 カルマ・ヨガ (掃除や料理など、それぞれがアシュラムの仕事をする)

13:00 スナック

14:00-15:00 ワークショップ(ヨガに関する講義)

16:00-17:45 アーサナクラス  

18:00 夕食

19:30-20:30 サットサンガ

22:00 消灯

22:30 就寝

こんなに早寝早起きをして、瞑想もヨガも3時間ずつやったら、雑念が消えそうだ。食事もすべてベジタリアンらしい。

「4日後には、悟ってかえってくるかもしれない」と夫に行って、ホーチミンをあとにした。

ダラット空港をでると、まず空気がきれいなことに驚いた。排気ガスでもわりとしたホーチミンとは違う、澄んだ空気。春のような気候だ。半袖に上着を羽織る。

アシュラムまでは、車で40分。タクシーから見える山と空の色は、ホーチミンより柔らかく、大きな雲が悠々と流れていく。たしかに、軽井沢に近い。

そして、なにより静かだった。ホーチミンで絶え間なく聞いていた、バイクのクラクションや人の声がない。

歩いているときはもちろん、家からもクラクションや「モー・ハイ・バー・ヨー!」というベトナムお馴染みの乾杯の声がよく聞こえる日々だった。

喧騒、排気ガス、各国のチェーン店、気を抜いたらバイクに轢かれそうな緊張感。

あまり気にしていなかったけれど、ホーチミンはなかなか俗っぽさ満載の街なのかもしれない。

久しぶりの静かな気持ちに、アシュラムでの生活への期待が高まった。

(つづく)

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興味深い4日間だったため、次回につづきます!

アシュラムに行く途中には、湖もありました。白鳥ボードの顔が、日本より化粧濃いかんじ。

アシュラムに行く途中には、湖もありました。白鳥ボードの顔が、日本より化粧濃いかんじ。

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