あなたの中のワンちゃんへ
「なんか……大きい犬、みたいなかんじなんですよねぇ」
骨にアプローチする独特な整体(?)に、また行ってきた。今回も、身体への印象の表現が、独特だ。
前回に比べて、身体は機嫌をなおして、だいぶ素直に流れていくかんじらしい。まるで、ふてくされて寝ていた大型犬が、はやく外で駆け回りたくて、うずうずしているようだという。

一時「Dog Whisperer」という番組にはまっていた。直訳すると、「犬の囁き」だろうか。
名ドッグトレーナーが、問題犬のところに行って、飼い主のお悩みを解決するというアメリカの番組だ。多くの人が聞き逃してしまう「犬の囁き」を、彼は聴くことができるのだ。
大きい犬のようだと言われて、私はその番組の犬たちのことを考えていた。トレーナーが訪れるアメリカの大きな家の前庭で待っているのは、だいたい筋肉がしっかりある大型犬だ。
吠えて近所迷惑になっている犬。噛み癖があって危険だと、口輪をされている犬。この子は凶暴だからと諦められた犬たちは、トレーナーを威嚇する。飼い主は、その横でほとほと困っている。
毎回もちろん、犬も飼い主は違うのだけど、たいてい問題の原因は2つだ。
①飼い主がいつも不安そうに、犬に接していること。
②犬の体力に対して、運動不足であること。
毎日犬をトレッドミルで走らせ(体力が有り余る犬に、飼い主の体力が追いついていないことが多い)、飼い主が落ち着いた佇まいになると、問題犬はみるみる穏やかになる。
「いや犬みたいって、人によっては気を悪くされるかもしれないから言うか迷ったんですけど、なんだかよかったです」
嬉しくなってその番組の話をすると、そう言われた。そう、私は犬が大好きなのだ(人間よりもずっと)。
昨年、セルフコンパッションという概念のワークショップを受けた。いろいろと研究やフレームワークはあるのだけど、簡単に言うと、自分(セルフ)に優しく慈愛ある(コンパッションのある)言葉をかけてあげる、自分に優しく接することができるようになるための訓練だ。
これがなかなか難しい。子供の頃にかけられた言葉や、社会規範によって、つい無意識に自分を批判してしまう。そのことが逆に自分の生産性やクリエイティビティを阻んでいることはわかっていても、なかなか止められない。
まるでトレーナーに不安そうに悩みを打ち明ける飼い主のようだ。
「この子はちゃんと見ておかないと、人にとびかかるんです。あ、ほらまた…こら!」
いつも怒られるから、不安になって、言うことを聞く余裕がなく、飼い主を困らせる大型犬。そんなふうに捉えると、もっとこのワンちゃんを信じてあげたほうがいいんじゃないかと思えてくる。それにずっと机の前に座っていたら、エネルギーがありあまってかわいそうだ。
人間イメージの自分に優しくするより、やりやすいかもしれない。
ということで、自分のなかのワンちゃんに様子を聴いてみると、ストレスがたまっているので発散したい、もっと自由に任せてほいしとのこと。あとは仕事が心配だからと、休んだり運動する予定を後回しにするのは勘弁してほしいとも。
手始めに、今週からムエタイをはじめてみた。久しぶりのパンチとキックだ。偶然通りがかった餃子屋に入ってみた。土曜は仕事が気になりつつも、先に休んでみた。
どうでしょうか、ワンちゃん。
【編集後記】
大型犬は、誰しものなかにいるわけではないようです。チワワっぽい身体の人もいるし、そもそも体を触って、いつも犬や動物が浮かぶわけではないということ。
そう言われると、この人ゴールデンレトリバーっぽいなぁとか、ポメラニアンぽいなぁと思うことがあります。
私は犬好きなのでつい犬種で考えてしまいがちですが、猫やアヒル、もしくはお花や樹木がしっくりくる人もいるかもしません。
あなたのなかには、どんな動物(植物かも)がいますか?

トルコ・アンカラの野良犬。野良犬と思えないくらい毛艶がよく、のんびりしていた。そして、みんな大きい。
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